STRANGULATION
サスティナブルが重要視される世界で、着なくなり忘れられてしまった衣服たちの『復讐』
をテーマにしたブランド【FUKUSYU】のコレクションの中の1着。
製作方法は、古着の再生利用。ベースアイテムは、「アウトドアウェア」。
4着のナイロンパーカを全てパーツごとに分解後、完成形にむけて縫い合わせていく。
その際に縫代や不要な部分をゴミとして出しさないように、内側の縫代は全て切り落とさずに残し、ナイロン用補正テープで内止めした。フード、ポケットまで全をナイロンパーカを使用し製作。
仕上げに、アウトドアウェアの特徴的なディテールである、コード(調節紐)、コードストッパーを利用し各所に赤の調節紐を通した。これは大切にされなかったアウトドアウェアが、復讐のため人間を絞め殺そうとしている表現で、コードの赤色はモノに命が宿るイメージで血の赤を採用した。
そして全身にプリントされているテキストは英語で『絞殺』を意味する『STRANGULATION』。
Avenir
ルイ・ヴィトンなどのを傘下に収めるフランスのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)グループが主催するファッションの国際的な賞。
正式名称は「LVMHプライズ フォー ヤング ファッション デザイナーズ(LVMH Prize for Young Fashion Designers)」。2013年、世界の若手デザイナーの支援を目的に創設された。
このコンテストに出品するために製作した6スタイルのコレクション。
Pirahã Shirt
ピダハン族という実在する民族をテーマにしたシャツ。
ピダハン族は過去や未来という概念そのものがないため、不安というものを感じることもない。その為今現在を幸せにおおらかに生きている、それをビックシルエットというゆとりのあるデザインに反映している。
そして、そのような概念を生み出している1番の要素であるピダハン語。
この言語には、我々の言語ではありえないような特徴をもっている。
その特徴をデザインに落とし込んだ。
・世界最少の温素数11種→少ないパターン
・性別を表す言葉がない→ユニセックス
・左右など方向を示す言葉がない→左右非対称な見頃
・言葉を「口笛」「鼻歌」「音楽的な記号」に置き換えても会話ができる。
→長袖、七分袖、半袖の3パターンの袖
Shirt Knit
シャツとニットのミックスをテーマに製作。
シャツのカッチリとしたスタイリッシュさとニットの柔らかく温かいカジュアルさを、斜めに切り替えたデザイン。
Versus Fusion Skirt
対になるものをテーマに制作したスカート。
「機能」と「装飾」「和」と「洋」をデザインに落とし込み、
前面に刺繍で「月とスッポン」を施した。
Jacket
ピカソの愛人『フランソワーズ・ジロー』をテーマに制作したジャケット。
「愛人」という言葉から、大量のコスメを連想した。そこからリップ、ファンデーション、マスカラ、アイライナー等のコスメを数種類収納できるポケットを各所に配置。
フランソワーズ・ジローはピカソの何人もいる愛人の中で、唯一彼を捨てた愛人である。
そして別れの時、傲慢なピカソは「どんな女だってわしのような男から去っていきはしない。ここを出るということは、今後は砂漠で生きるようなものだ・・・」と言ったが、
彼女は「砂漠で生きる運命にあるなら、そこで生き抜いてみせます。」と返したという。
このシーンをデザインに落とし込み、ジャケットのベースは砂漠と暗闇をイメージしたベージュと黒、ベージュ部分はウールの縮絨加工を用いた凹凸で砂丘を表現。
そして中心に大きく構えるブルーのボタンは、そんな暗い砂漠の中でも生き抜いていく、強く美しい女性フランソワーズ・ジロー自身を表している。